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1. セカンドライフの不動産

セカンドライフという3次元仮想世界には土地があります。セカンドライフを運営している米リンデンラボ社はインターネット上の3次元仮想世界の中の土地をレンタルすることで収益を得ています。我々ユーザーはレンタルした土地を自分で使うことも出来ますが、この権利(借地権のようなもの)を売買したり、転貸で収益を得たりすることができます。

すでに日本でのセカンドライフブームが去って久しいのですが、いずれ仮想世界サービスは必ず実用化してきますし、そのときにはセカンドライフと同じようなコンセプトの仮想世界が主流となると思われますので、経緯を書き残しておきます。

米国のセカンドライフバブル

2006年の初頭、アメリカでセカンドライフが話題となり、多くのユーザーや企業がセカンドライフに参加しました。これによってセカンドライフ内の土地の需要が急激に高まり、不動産バブルが起こりました。その中でひとりの中国人の女性が不動産王となり、100万ドル分の資産を仮想世界に持っているということで、Business Week の表紙を飾りました。

現実世界では土地には限りがあり、また移動に時間がかかることから、利便性に優れた都市部の地価が高いわけですが、セカンドライフの土地は所詮インターネットサーバーですので、無限に増設して土地を増やすことができ、またクリックひとつで移動もできます。それにもかかわらずなぜ地価が高騰したのでしょうか。

それはあまりの急激なブーム化に、リンデンラボ社のサーバ増設が間に合わなかったのです。その時期にセカンドライフはカジノブームでした。多くの人が競って、カジノの規制の無いセカンドライフに、より大きなインターネットカジノを作ろうとしていました。このため地価が20倍にもなり、まさに不動産バブルが発生しました。朝土地を仕入れて、夕方には高く売れる、まとまった広さの土地を作るために嫌がらせをして立ち退きをかけるなど、日本の不動産バブルで起こったことがセカンドライフの中でも起きていました。

日本のセカンドライフバブル

私はこれらの不動産バブルは近いうちに崩壊するものとして無視し、独自の都市開発を始めました。土地は無限に増やせてタダ同然だとしても、人の集まる場所には価値があります。都市開発を行い、人が集まることで土地に価値が生まれるのです。砂漠に出来たラスベガスと同じです。

当時のセカンドライフにはまだ日本人が集まる場所がほとんどありませんでした。そこで仮想の東京を作ろうと計画しました。とはいえ、単なる更地を「東京」と宣言して売りだしたところで、誰も騙されません。そこを東京にしようと考える人が集まり、住み着くことで初めて東京になるのです。それにはコミュニティが必要です。それが私たちの作った「MagSL Tokyo」でした。誰もがセカンドライフ上の新しい東京を作ることに参加できるコミュニティです。これは楽しい遊びでした。

アメリカでセカンドライフが流行っている、すでに不動産王も誕生している、日本でも東京を作った男がいる。これはとても面白いニュースだったのだと思います。多くのマスコミが私を始めとした仮想世界の住人に取材をしました。この結果として日本でもセカンドライフユーザーが急増し、不動産バブルが始まりました。

多くの人が訳もわからず土地を買っていました。私の会社にも「金を振り込むから土地を買ってくれ」というおかしな電話が少なからずかかってきたほどです。私は不動産バブルを起こさないように、MagSL Tokyoの土地の売買や転貸を禁止していました。あくまで一律価格のレンタルのみとしたことで、土地の値上がりを期待する人々はMagSL Tokyoから去り、セカンドライフを自分で利用する人だけが集まるコミュニティとなりました。

セカンドライフ不動産バブルの終焉

2007年の日本セカンドライフバブルで、1000台のサーバーがレンタルされたそうです。その初期費用は1台あたり約20万円でしたので、運営しているリンデンラボ社にそれだけで2億円が支払われたことになります。それに加えて1台あたり月額3万円のレンタル料を支払っていたのです。しかしそのほとんどが、後に使い道もわからないまま解約されたと思います。

時を同じくして、ついにセカンドライフにもFBIをはじめ当局の手がはいりました。無法地帯のようだったカジノは規制され、次々と撤去されたために一気に土地あまりとなり、不動産バブルは崩壊しました。たった1ヶ月で10分の1まで地価が暴落したのです。マグスルではそもそも不動産の売買は行っていなかったので影響はありませんでしたが、売買をメインに行っていたユーザーはこのとき職を失いました。

セカンドライフのような仮想世界の土地を買い占めることに意味はありません。日本製の仮想世界でも、土地を売りだそうとして失敗したサービスがあります。土地が重要なのではなく、コミュニティを作り、人が集まり、そこで何かが見いだせるようにすることが大切です。この点においては、3次元仮想世界も、2ちゃんねるやミクシィのようなテキストベースの仮想世界も本質は同じです。セカンドライフでは土地が重要だったのではなく、コミュニティが活動する場所として土地が必要だったのです。

いまでもTwitterやFacebook、アメーバブログで友達登録を増やすことがいつかお金になると信じている人が多いように思います。確かに新しいサービスの登場はビジネスチャンスではありますが、用意された機能だけをいくら使っていても、なにも起きません。そのプラットフォームを使って、新たな何かを生み出せる事が大切だと思います。

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セカンドライフとは

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